Austin
Beyond the Innovation
Tour 2019
オースティン
イノベーションの「向こう側」をめぐる旅
2019.03.10 SUN - 03.16 SAT
オースティン
イノベーションの「向こう側」をめぐる旅
2019.03.10 SUN - 03.16 SAT
「SXSWはもういいだろう」なんて声も、今年あたりは多く聞こえて来そうだ。「期待したほど目新しいテクノロジーをみれるわけでもないしさ」と、展示ブースでとぐろを巻いてオースチン滞在を終えた方なら、そう言うはずだ。それはそれで、おそらく正しい。けれども、何度もあちこちで指摘しているように、「SXSW」は新奇なテクノロジーの博覧会でも見本市ではない。「見る」場所ではない。そこは課題を共有したり、アイデアを交換しあう、対話や議論の場所だ。これは面白いと思うサービスやアイデアをもっている人がいたら、自分から声をかけて、一緒に何かやりましょう、と約束しあう場所だ。
2018年のSXSWで、自分は「Black Gotham」という教育NPOのメンバーによるセッションを見た。彼らは、マンハッタンの建設において黒人たちが果たした貢献の痕跡を探し、ニューヨークの知られざる歴史に光をあてる市内ツアーを開催している。これまで語られることのなかったマイノリティの歴史を現代においていかに語り直すことができるのか、がこのセッションのテーマだった。セッション自体ももちろん興味深かったのは、感心させられたのは、質疑応答だった。
ある白人男性が、まずマイクの前に立った(SXSWでは、客席の一番前にスタンドマイクが1本用意され、質問者は、そこに一列に並び順に質問をしていく)。彼はオランダから来たのだと言い、こんな質問をした。「オランダでは、いわゆる植民地から連れてこられた人たちの歴史を、歴史の教科書にちゃんと記載しようという動きがあったのだが、それが保守層の反発によって実現しなかった。こういう事態と戦うには、どういう手立てが有効だと思うか?」。その次に質問に立った女性はオーストラリアから来たのだという。彼女はたしかアボリジニの権利保護団体で活動をしていると自己紹介したのち、Black Gothamが主催するツアーの詳細や、その効果のほどなどをかなり具体的に聞いていた。もちろん、セッション終了後にも、彼らは登壇者をつかまえて、熱心に立ち話を続けていた。次のセッションが始まるから、と会場を追い出されるまで意見交換をしていた。
つまりはそういう場所なのだ。自分がやっていることの相談をできたり、課題を一緒に語り合うことのできる先達や仲間と出会う場所。自分はといえば、熱心に議論をするまではいたらなかったものの、「都市と音楽」をテーマにしたパネルディスカッションに登壇していた、Sound Diplomacyという団体のディレクターの話が面白かったので名刺交換だけはしておくことにした。2018年12月に彼らのスタッフのうちのひとりを東京で開催するイベントに招くことができたのは、そうした縁もあって、だ。
何百ものセッションが10日間の間に開催され、さまざまな分野でユニークな活動をするフロントランナーたちが一堂に介するSXSWは、面白いアイデア、参考になる知見をもっている人や企業や組織と出会うには、いまだに、大いに「使える」場所だ。
2019年のSXSWでは、「ブロックチェーンと暗号通貨」(ConSensysやRippleのCEOなどが登壇)、「ソーシャルとグローバルインパクト」(ジェンダー、人種、監視社会、アイデンティティ、HRのダークサイドなどの社会課題)、「インテリジェント・フューチャー」(AIを中心とした先端技術と社会問題)、「ヘルス&メドテック」(メンタルウェルビーイング、孤独、職場の健康、癌と生きる、エイジングと恋愛)といったトラックでは、すでに相当数のキーノートやパネルがリストアップされており興味の中心を占めそうだが、それ以外にも「CANNABUSINESS」、つまりは勃興するマリファナ・ビジネスをめぐるトラックにもいよいよ大きな注目が集まりそうだ。
個人的には、「インテリジェント・フューチャー」のトラックに、バーチャルリアリティの名付け親であり、「GDPR」を始めとする欧州発のオンラインセキュリティの動きを熱烈に支持してきたジャーロン・ラニアー、「デジタルネイティブ」「ソーシャルカレンシー」「ヴァイラルメディア」といった言葉を世に定着させるなど常に鋭いテクノロジー批評を繰り出してきたメディア理論家のダグラス・ラシュコフ(黒鳥社が制作したムック『NEXT GENERATION BANK 次世代銀行は世界をこう変える』にも寄稿)によるキーノート、さらに「AIに負けたチェス王者」として歴史に名を刻むロシアの伝説のグランドマスター、ガルリ・カスパロフが、「AI時代の倫理と責任」をテーマに語るトークセッションは、今から楽しみだ。
2019年のSXSWでは、どんな出会い、どんなアイデアを持ち帰ることができるだろうか。
若林恵
Another Real Worldツアーエディター/blkswn コンテンツディレクター
2019年3月10日(日)
〜3月16日(土)
1,290,000円
燃油サーチャージは含みません。
カンファレンスチケット(PLATINUM BADGE)料金が含まれています。
同行しません。
ANOTHER REAL WORLD TOUR事務局が同行します。
カンファレンス中の通訳はございません。個人の通訳をご所望の場合は別途ご相談ください。
募集人員:15名
最少催行人員:15名
日本発着利用予定航空会社:アメリカン航空または日本航空
利用予定ホテル:ホリデイインエクスプレスアンドスイートオースティンダウンタウン/ホテルインディゴダウンタウンオースティン/ヒルトンガーデンインダウンタウンコンベンションセンター/ヒルトンオースティン/オムニオースティンホテルダウンタウン/コートヤードマリオットダウンタウン/レジデンスインダウンタウン/ハンプトンインアンドスイートダウンタウン/ハイアットプレイスダウンタウン/キンプトンホテルヴァンザント/JWマリオットオースティン/ラインオースティン/ハイアットハウスオースティンダウンタウン/シェラトンオースティン/ハイアットリージェンシーオースティン/ホリデーインタウンレイク/AT&Tカンファレンスホテル/ダブルツリースイートバイヒルトン/エンバシースイートダウンタウン/アロフトオースティンダウンタウン/エレメントオースティンダウンタウン
宿泊ホテルのご指定には対応いたしかねます。
食事:朝食0回、昼食0回、夕食5回
夕食時のお飲み物は各自負担になります。
Another Real World 事務局
PHOTOGRAPHS BY BRYAN DERBALLA
世界最大規模を誇るテックイノベーションの祭典として知られる「SXSW(South by Southwest)」。何かと「テック」の話題が取り上げられがちなSXSWですが、実は1986年の初開催時は「インディ音楽の見本市」でした。その後94年に映画を扱うSXSW Film、98年にはSXSW Interactiveが追加され、2007年のSXSW InteractiveにおけるTwitterのウェブアワード受賞を契機に、ビジネス文脈でも注目されるようになったのです。
世界中から大企業、スタートアップ、投資家、イノヴェイターが集まるだけあって、そのテーマもさまざま。VR/ARやブロックチェーンのようにテックを扱うものもあれば、政治や宗教を扱うものも少なくありません。もちろん、音楽や映画に関してもSXSWには世界中のアーティストが集まっており、次なるムーブメントが生まれる場だといえます。
SXSWのことを知るうえで重要なのは、彼ら/彼女らが独自の視点から編集した「トレンド」を理解することです。2019年で提示されたトレンドは、以下の10点。このトレンドを理解することで、SXSWの体験はさらに豊かになるはずです。これは単なるバズワードの寄せ集めではなく、これからの世界がどこに向かうか考えるための「ヒント」でもあるのですから。SXSWとは最先端のテクノロジーに追いつくための場ではなく、トレンドという名の「コンパス」を手に、世界中のイノベイターとともに新たな「地図」を描くための場なのです。
ツアー期間中に閲覧可能なセッションはSXSW2019公式ページ(https://www.sxsw.com/) からご確認ください。
SXSWには無数のプログラムがあるため、どこに行けばよいのかわかりにくいのも事実。本ツアーでは、何かと話題のインタラクティブのみならずフィルムとミュージックも合わせた全領域からいま体験すべきプログラムをジャンルを問わずご提案します。
SXSWには刺激的な出展者・登壇者が集まっているのはもちろんのこと、世界中からさまざまなジャンルのイノベイターも集まります。独自のネットワークを生かしながら、本ツアーは毎晩スペシャルゲストを招聘したミートアップを開催します。
展示を観てキーノートを聴くだけではただの「海外視察」と同じ。本当のSXSWはその「あと」から始まります。本ツアーでは毎晩振り返りの場を設け、ツアースタッフを交えながら多様な人々と「対話」を重ねることでSXSWの体験を何十倍にも増幅します。
本ツアーには世界各地でイノベーションの最前線を回ってきた黒鳥社・若林恵と、Stylusに参画し世界中のイノベーション事例に精通する廣田周作が帯同予定。彼らの知見を掛け合わせることで、あなたの小さな気付きから大きなビジネスが生まれるかもしれません。
各プログラムの内容は変更される可能性がございます。
2019年3月10日(日)
〜3月16日(土)
東京発|オースティン着
食事:朝×/昼×/夕◯
SXSW 2018視察|振り返りミーティング and more | オースティン市内レストランにて夕食
食事:朝×/昼×/夕◯
SXSW 2018視察|振り返りミーティング and more | オースティン市内レストランにて夕食
食事:朝×/昼×/夕◯
SXSW 2018視察|振り返りミーティング and more | オースティン市内レストランにて夕食
食事:朝×/昼×/夕◯
SXSW 2018視察|振り返りミーティング and more | オースティン市内レストランにて夕食
食事:朝×/昼×/夕◯
オースティン発
食事:朝×/昼×/夕×
東京着|通関後、解散
食事:朝×/昼×/夕×
スケジュールは一部変更される可能性がございます。
ツアーに参加される方は、2月18日(月)予定の事前勉強会と、4月16日(火)予定の事後報告会にもご参加いただきます。
PHOTOGRAPHS BY BRYAN DERBALLA
2019年1月9日(水)
2019年1月11日(金)にツアー催行可否を決定いたします。催行決定後にお申込金のご請求書を発行いたします。
お申し込み受付は終了しました
SXSWではいったい何が起きているのか。なぜいまSXSWに参加する必要があるのか。参加を検討されている方へ向けて開催する事前説明会では、2017年、2018年とSXSWに参加し、自身も昨年のSONYブースにて登壇経験のある黒鳥社コンテンツ・ディレクターの若林恵がSXSWの注目ポイントを説明!2019年の見どころだけでなく本ツアーだからこそ体験できるスペシャルコンテンツについてもご説明します!
日時:2018年12月10日(月)19:00-20:30(18:45受付開始)
場所:No rails / No rules
東京都渋谷区東1-29-3 渋谷ブリッジB棟 1階
参加費:無料
PHOTOGRAPHS BY BRYAN DERBALLA
住み慣れた街から船出をし、いくつもの海を渡ってたどり着いた、とある街。すべてが活気に満ちて見るもの何もかもが新鮮で目新しい。知らない街はなんと楽しいことか。そう思ってしばらく過ごしたところで、ふいに気がつく。そこは自分が住み慣れたロンドンの街だったのだ。そんなエピソードを英国の作家G・K・チェスタトンは紹介している。
ブライアン・イーノの名盤「Another Green World」もまた同じモチーフが下敷きになっている。地球を遠く離れて宇宙を旅した男が、とある緑の惑星にたどり着いたら、そこが旅だった地球だったという物語が、そのインスピレーションになったと言われている。
旅は、いったいなにを見出す行為なのだろうか。未知なる場所を訪ね、新しい事物や暮らしをみて感じる。それは旅の半分でしかない。残りの半分は、むしろ帰ってきてからのことだ。自分がそれまで当たり前だと思っていたこと、ありきたりだと感じられていたことを、まったく違った視点やコンテクストにおいて捉え直すことができるようになること。ふるさとをまるで異国のように見つめ直すことができるようになること。
世界の先進的な都市を訪ね、これから人の暮らしが一体どのように変わっていくのかを探る旅のプログラム「Another Real World」は、先進都市にただ学び、それを真似するための「ネタ」を探すためのものではない。むしろ、自分たちの世界のそれとは異なる「リアル」を体感することで、自分たちが生きている「リアル」を再発見するためのものだ。いまとは違う、オルタナティブな社会や暮らしのあり方を再想像するためのきっかけなのだ。
若林恵(blkswn publishers)
1971年生まれ。編集者、Blkswn代表。ロンドン、ニューヨークで幼少期を過ごす。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒業後、平凡社入社『月刊太陽』編集部所属。2000年、フリー編集者として独立。以後,雑誌,書籍、展覧会の図録などの編集を多数手がける。音楽ジャーナリストとしても活動。2012年に『WIRED』日本版編集長就任、2017年退任。2018年、黒鳥社(blkswn publishers)設立。
1980年生まれ。2009年電通入社。コミュニケーション・デザイン・センターを経て、現在BD&A局に所属。英国のイノベーション・リサーチ企業「Stylus Media Group」の日本におけるチーフ・アドバイザーとして、企業のブランド開発やイノベーション・プロジェクトに多数参画。2013年、自著『SHARED VISION』(宣伝会議)を出版。
イギリス、スコットランドにて大学を卒業後、グローバルデジタルマーケティングカンファレンス、ad;tech/iMedia Summitを主催しているdmg::events Japanに入社。2015年にmash-inc.を設立し女性のWELL-BEINGを軸としたサービス展開を手掛けながら、ジェンダーや働き方の問題など、まわりにある見えない障壁を多彩なセッションやワークショップを通じて解き明かす「MASHING UP」をプロデュース。
ANOTHER REAL WORLD TOUR事務局 info@anotherrealworld.com
PHOTOGRAPHS BY BRYAN DERBALLA